2016年8月28日日曜日

君の名は。を見てきました。ネタバレあるので見てない方は注意

ネタバレ込みの糞長文書きます。

注意してください。

君の名は。を見てきました。

新海誠が新進気鋭のアニメーション作家と言われて、もう15年以上が経ちました。

ほしのこえを見た時に、その映像美に圧倒されたのはよく覚えています。

どのカットで止めても一枚絵として成立するなんて言われてましたね。

今回の君の名は。も圧倒的な背景の美しさは健在で思わず息をのんでしまいます。

ただ、今回の映画はこれまでの新海作品とはちょっと異なり一般向けになった感は否めません。

別に悪いことではないですが。

私はなんとなく今までの新海作品の集大成のように感じます。

なぜかといえば、過去作の言の葉の庭からキャラクターの登場があったり、秒速5センチメートルを意識したような描写があったからです。(後者は気のせいというか新海誠の癖なのかもしれません。)

新海映画といえば、少し物悲しさを感じるエンディングが印象的です。

雲のむこう、約束の場所では佐由理と浩紀は結ばれなかった。
もちろん佐由理が目覚めたという意味ではハッピーエンドだし、小説を参照すれば一応再会はしている。
ただ結ばれなかった。

秒速5センチメートルでも、高樹と明里は結ばれなかった。もっと言えば再会することもなかった。
これも漫画版をみれば、香苗とは幸せになったのかもしれないが。
ただ、明里じゃない。

言の葉の庭も、別離で終わる。(小説未読です。買ってはいるのですが。。。)

でも勘違いしてほしくないのは、バッドエンドじゃあないってこと。

ただ大団円じゃない。

こんな感じの印象を新海誠作品には抱いています。した。

今回の君の名は。では瀧と三葉は明確に出会ってエンディングを迎えます。もちろんこの後どうなるかはわかりませんが、少なくとも新海誠が描くこれまでの結末とは異なっています。

再開のシーンも満開の桜が咲くなか、電車を通じた出会いがあり、徒歩でスレ違い、振り返ります。

秒速5センチメートルを感じませんか?

秒速5センチメートルでは、言い換えれば高樹は電車の車窓や路地裏で常に明里を探していました。

物理的に探すというのももちろんありますが、どちらかと言えば明里の存在は常に心に留め置かれていたという心理的なものがほとんどです。小説版で高樹の大学時代に付き合って振られることになった女性のセリフは、それを象徴しています。

もちろん明里も高樹のことを意識はしていますが、留め置いているかと言われれば過去の人物として昇華してしまっている感は否めません。

そして、彼ら二人は再び見えることなくそれぞれの人生を歩むのです。

しかし、君の名はでの瀧と三葉は常にお互いを意識して探しています。

三葉が電車の車窓で探している姿は、これまでの新海作品を振り返ればレアなケースですよね。

小説版は未読なので、ここらへんの心理描写は映画から推測するしかないわけですが、秒速5センチメートルというお話が高樹が主人公でありその視点で明里を探していた高樹の話だったのが、君の名はでは瀧と三葉の話で二人の主人公ががお互い探している。

ここに結末の違いがあるのかもしれません。

細かいことを言えば、二人をつなぎとめる紐が君の名はではあり、秒速5センチメートルでは手紙を渡せなかったことも大きな違いと言えるのかもしれません。

ただ、高樹と明里の結末を知る人にとっては君の名はの結末はなんとなく転換点のように見えるし、二人が再び出会えたことに喜びを感じずにはいられません。

私は君の名はをみながら、瀧と三葉をみながら、完全に高樹と明里を重ねていました。

終盤とか絶対に意識してるだろ!!!



細かい点というか今までの話とはちょっとつながりがないのですが、

言の葉の庭の由香里がでてたのは、普通に嬉しいですよね。

あれが似て非なる人物なのか本人なのかはわかりませんが、それでもセルフオマージュというかファンを喜ばせる演出はやっぱり嬉しいです。

あとは、三葉の父親である彼(名前は忘れた)と母親である二葉(双葉?わかんね)との出会いと関係にも入れ替わりはあるのかなぁとか考えちゃうね。家系らしいし。







ただ、文句というかまあ文句なんだけど

青春時代を過ごす男女が入れ替わったとして、連絡を密にせずお互いの携帯に日記を残すっていうすごいゆるふわな連携ってちょっとリアリティないよね。

秒速5センチメートルとか雲のむこう、約束の場所とか、言の葉の庭はSF要素がなかったり自己主張が薄いから気にならないけど、入れ替わりがメインで時間遡行の要素を大きく含むのにやってることはそのへんのライトノベルで、しかもライトノベルよりも説明がない。
もう少し理由付けするやろと思う。

気が弱いというか周りをとりもつタイプの三葉に入った瀧が、周りに喧嘩売るとか、喧嘩っ早い瀧に入った三葉がスイーツの写真とったり裁縫して女子力アピールしたり。

お前ら本当にそれでええんか?

少なくとも電話連絡くらいしろやと。いやそんなことしたら話がおかしくなるってのはわかるし、こんなこと言っちゃあ素直に楽しんでないと言われるのだろうけど、やっぱりリアリティがないんだよね。

眠ることがトリガーとなって起こる入れ替わりも条件があいまいだから、口噛み酒を飲んだシーンに重みがないし、川向うは冥府って設定も浮いていると思う。

設定を聞き逃してたりするのかもしれないけど、一回見た程度ではわからない。

あと、今回からRADWINPSが音楽を担当していて前前前世とか良かったんだけど、私の好きな新海ワールドじゃあない。やっぱり天門がいい。わがままだけど。疾走感があっていいけど停滞がない。天門は停滞がいいんだ。

別にRADが悪いわけじゃなくて個人的な嗜好の問題だけど。


そういえば声優よかったね。てか長澤まさみこんなにうまいんかってびっくりした。主人公二人も違和感ないし。こういう演技が見れるなら全然悪くない。





総評としては、やっぱり面白い映画だった。面白い映画っていっても、見た瞬間にあーおもしろかったってなるやつもあれば、なんか悶々として気になるからいろいろ見返してーみたいな映画もある。

いままでの映画はほとんど後者だったけど、今回は前者になったというだけのこと。

前半のコミカルタッチに描かえる入れ替わりの日常はやってることに疑問はあるけど(感想を書こうと振り返り考えると...ね)ふふっと笑えるシーンはいくつもあるし、後半のシリアスシーンからエンディングにかけてはRADの曲とともに、主人公たちと物語を疾走する。

いままでの新海ではどんよりとした空気を暗中模索しながらすすんでいたのが、彗星のような光る目標に向かって走る映画になった。

しかも、過去作品からのオマージュがたくさんあって過去からのファンも嬉しい。

エンディングは今までの傾向を考えれば少し大衆に迎合したとも言えるけど、ハッピーエンドは嬉しいし今までの集大成と考えれば悪くない。

新海誠の次がどうなるかで、全然変わってくるのだろう。

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